総合情報誌RinRin Vol.238[立夏] 2020年5月

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- 「健康長寿のための食生活」 シリーズ①
老 化の 原 因 物 質 ﹁ AGE﹂ の 摂 取を 控え ま し ょ う !
﹃生 活 見 直 し 隊﹄ の コ ー ナ ー も こ の 立 夏 号 か ら リ ニ ュ ー ア ル︒ シリーズ企画として︑ ﹁健康長寿のための食生活﹂ について取り 上 げ ま す ︒老 化 の メ カ ニ ズ ム を 長 年 研 究 さ れ て き た 医 師 の 牧 田 善二先生に︑ 健康長寿のためにはどんな食事をすればよいのか︑ さまざまな角度からご紹介いただきます︒
※ 「AGE」 という名前は、 英語の 「Advanced Glycation End‑Products」 の頭文字をとったも ので、 日本語では 「終末糖化産物」 と訳されます。 ブドウ糖などがタンパク質と結合して生ま れる物質の最終反応物です。 「終末……」 という言葉からもイメージできるように、 一度生ま れたAGEが元のタンパク質とブドウ糖に戻ることは決してありません。
Vol.9
老 化の最 大の原 因 は 糖 化でで き る ﹁AGE ﹂
健 康 長 寿への第一 歩は AGEの摂 取 を 抑 え るこ と
■老化を進める 「糖化」 のしくみ
悪玉物質 老化の元凶
食品に含まれるAGEのうち︑ % 私は老 化のメカニズムにつ いて 年 程度は消化されずに体内に残ります︒ 以上にわた っ て研究してきました︒そ そのほとんどが尿 とともに排 出 され して近 年の研 究で︑ 体の老 化が︑ ある ま すが︑ 健 康な人であっ ても︑ 最終的 共 通したメカニズムによ っ て引 き 起こ ・ 6〜0 ・ 7% されていることがわかっ てき ま した︒ には取 り 込んだ 量の0 は体内に残 っ てしまいます︒大した数 それが︑ ﹁糖 化﹂ です︒糖化とは︑ ひと 字ではないと思われるかもしれません ことでいう と ﹁コゲ﹂ のこと︒ タンパク が︑ 一度 体 内にたまったAGEを 自 力 質がブドウ糖などの糖質と結びつ いて で排 泄 する手 段はほとんどあ りませ 劣化することです︒ んから︑ 文字通り ﹁塵 も 積 も れば 山 っ て体内に大量に作ら この糖化によ となる﹂ とい っ た状態で︑ どんどん老化 れる︑ ある悪玉物質が今︑ 老化の元凶 が加速してしまいます︒ として注目されています︒ ﹁AGE﹂ と したが っ て︑ 健康長寿をめざすため いう物質です︒ にはまず︑ 毎日の食事の中で摂取する 恐ろしいことに︑ このAGEは体の中 AGEの量 をできるだ け 抑 えること にどんどんたまり︑ 全身のありとあら が重要です︒ ゆる 場 所で︑ 老 化 をはじめと す るさ フランクフルトソーセージ︑ まざまな害 を 引 き 起こしま す︒肌の 例 えば︑ ベーコ ン︑ フライドポテトは ﹁絶 対に避 シミやシワな ど 目に見 える 場 所の老 けたい食べ物ワースト3﹂ ともいえる 化だけでなく︑ がんや動脈硬化︑ 骨粗 大量のAGEを含んでいます︒ しょう 症︑ 認知症 ︵アルツ ハイマー病︶ ︑ もので︑ 極力食べないようにしましょう︒ 白 内 障 など︑ 年 齢 が上 がるとともに 具 体 的にどんな 食 事 かかりやすくなる病気も︑ AGEが大 次 回 からは︑ を とればよいか︑ ご紹 介 していき たい きな原因の 一 つ です︒ と思います︒ お楽しみに︒ これまで ﹁年 を とったら 仕 方 ない﹂ とされて いた多くの病気や体の不調は︑ AGEを 発 生させる糖 化が引 き 起こ 監修 牧田 善二 しているのです︒ 牧田クリニック院長︒ 糖尿病︑ アンチエイ ジング専門医︒ 医学博士︒ ニューヨークのロック では︑ 糖 化が進んでたまるAGEは フ ェ ラ ー 大 学 生 化 学 講 座 な ど で︑ 老化の原因と どこからくるのでしょうか︒ の研究を約5年間行 して注目されている 毎日 少しずつ体の中で化 学 反 応に う︒ 北海道大学医学部講師︑ 久留米大学医学部教 授 を 経 て︑ 2003 年に糖尿病をはじめとする よ っ て生 まれていま すが︑ 実は食べ物 牧田クリ 生活習慣病︑ 肥満治療のための ﹁ にも含まれているのです︒食事をとる ニック﹂ を開業︒ これまで延べ 万人以上の患者 を診ている︒ ことでAGEは体にたま っ ていきます︒
タンパク質が 劣化する
ブドウ糖
AGE
AGE
糖化
AGE
タンパク質
大量の AGE 発生
反応
30
AGE
AGE
A G E
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20
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10
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