総合情報誌RinRin Vol.235[立秋] 2019年8月

- ページ: 15
- 十 分な 予 防 対 策で 「熱中症」 知ら ず の 健 康な 毎 日を !
日 本の夏の気 候は蒸し暑く、 熱 中 症が発 症しやすい条 件がそろっ て い ま す 。梅 雨 明 け な ど で 急 に 蒸 し 暑 く な る 7 月、 そして脱水と 疲 労 が 蓄 積 し て く る8 月 は、 熱中症のリスクがMAX に高まる時 期 。屋 外 で も 屋 内 で も 、 日 常 生 活 の あ る ゆ る 場 面 で、 熱中症予防 に取り組みたいものです。 そこで今回は、 医師の堀江正知先生に、 今日から実践したい熱中症対策についてご紹介いただきました。
4
特徴は 「脱水」 と 「高体温」
さら
外出は危険ですので避けてください。
「熱中症対策」
冷やした飲 ・ 外 出 時 間 が 長い場 合 は、
Vol.6
蒸し暑さに曝されること 熱中症とは、
み 物 の 入った 水 筒 を 携 行 す る な ど し
によって起こる、「脱水」(体内の水分や塩
分 (ナトリウム) のバランスが崩れること
て、 こまめに水分補給を行う。 ・ 日 陰 を 歩いた り 帽 子 を か ぶった り す
による健康障害) と、「高体温」(体温調節が できなくなって、 うつ熱が生じることに
るなど直射日光を避けて行動する。
・ 襟 元 の 開いた シャツや 通 気 性 の よい
よる健康障害) の両者をまとめて呼ぶ言葉
素 材の服 な ど、 涼しい服装をする。
です。 熱中症は、 発生するメカニズムによっ
・うちわや扇子を利用する。
て、 以下の 種類に分けられます。
① 熱 け い れ ん ナ ト リ ウム の 不 足 と 水分の摂取過多が原因となって、 使って したりします。
● 屋内での予防対策 人がいる場所 ・ エ ア コ ン を 使 用 し て、 で 気 温 を 確 認 し、 快適な温熱環境と
いる 筋 肉 がつった り こ む ら 返 り を 起 こ
な る よ う に 調 節 す る。 就寝の際もエ アコンを利用して蒸し暑さを取り除
② 熱 失 神 血 圧 低 下 や 脱 水 によ り 脳 にまわる血液量が減少して、 一瞬、 めま いや 立 ち く ら み が し た り、 気 を 失った りします。
く。 ただし、 エアコンの冷風が直接当
たらないように注意。
・ 外 気 温 は 深 夜 か ら 朝 方 に向 け て 徐 々
に下がることが多いため、 タイマーを
③ 熱 疲 労 脱水によって全身の細胞を とりまく水分が減少することによって、
エアコンで快適な室内環境に 睡眠を十分にとって疲労回復 栄養 ・ 水分補給をしっかりと
利 用 し て 入 眠 後にス イッチが 切 れ る ように設定することが有効。
さ ま ざ ま な 臓 器 の 機 能 が 低 下 し、 慢性
・エアコンを使用しない場合は、 窓を開
的な疲労感などを生じます。 ④ 熱射病 体温上昇により脳の体温中 枢が正しく機能しなくなり、 汗が止まっ て 体 温 が 急 上 昇 し、 意 識 状 態の低 下 や
けて通風を確保する。 また、 扇風機を
利 用 し て涼 しい気 流 を 室 内 で循 環 さ せるようにする。
・ 長時間外出した際は、 帰宅後、 窓から
屋内では……
臓 器 障 害 を 引 き 起 こ し、 死亡するおそ れがあります。
の西日 を 防 ぎつつ風 通 し を 確 保 す る などの対策を。 また、 体温を正常に戻
28℃ 以下
毎日の予防対策をし っ かりと
帽子や日傘で日射しをカット
し て 疲 労 を 回 復 さ せ る こ と が 重 要。
■熱中症対策あれこれ
このように、 最悪の場合は生命の危険 に至ることもある熱中症。 急に暑くなる
外ではこまめに水分補給を おでかけ前後に体重測定
そ の た めに、 シャワーを 浴 び る、 食事 や飲料を十分に摂取する、 なるべく涼
しい環境で安静に過ごす、 睡眠を十分 24
梅雨明けや連休明けは、 屋内外を問わず、
にとる……などを心がける。
時 間 体 制で熱 中 症の予 防 対 策を行う
脱水による熱中症を 予防するには、外出
前後で体重減少がな いことを確認するこ とが重要です。
屋外では……
必 要があります。 以下、 日 常 生 活の中で できる熱中症予防対策をご紹介します。 さっそく今日から実践してみてください。
ほ り え
せ い ち
監 修: 堀江 正知
● 屋外での予防対策 ・ 出 か け る 前 にあ ら か じ め 水 分 を 補 給 し てお く。 (注) 空 腹 や 脱 水 状 態 での
外 出、 ア ル コ ー ル が 入った 状 態 で の
1986年産業医科大学医学部卒業。 1991年か らカリフォルニア大学サンフランシスコ校レジデント。 1993年、 カリフォルニア大学公衆衛生学大学院 修士 (MPH) 。 日本鋼管 (現JFEスチール) 株式会 社専属産業医、 京浜保健センター長を経て、 2003 年から産業医科大学産業生態科学研究所産業保健管 理学研究室教授。 労働衛生コンサルタント (保健衛 生) 。 博士 (医学) 。 日本産業衛生学会専門医 ・ 指導医。
15
- ▲TOP